東京混声合唱団 田中信昭指揮活動50年記念大阪公演

音楽の友  コンサートレビュー


東京混声合唱団

例年8月、いずみホールで開く定期演奏会。今回は桂冠指揮者、田中信昭の指揮活動50年記念として、田中が指揮台に立った。

直近の委嘱作品3曲と、モンテヴェルディというプログラムだったが、やはり東混らしさは委嘱作品で発揮された。とりわけ本年(2003年)の作品「混声合唱、ヴァイオリン、ピアノのための光の庭」(野平一郎)は、不思議な魅力を持つ作品で、「庭」という架空の空間を、人間の心象風景の場に仕立て上げた。6曲それぞれの色彩化に成功。

《ミチザネの讃岐》(一柳慧・2001年)は、客席も使ったシアター・ピースで、遍路のイメージが、鈴を各所で鳴らしたのが効果的。それにピアノ(中嶋香)が美しく活躍した。「蜜蜂と鯨たちに捧げる譚詩」(三善晃・2001年)では、地元関西のアマチュア合唱団が加わり、壮大なエンディングを作った。田中の長年の実績を結実させた瞬間だった。

(2003年8月23日・いずみホール)
日下部吉彦