原 嘉壽子氏への委嘱曲


    題名 : 《野のマリア》より

       テキスト:長森 光代

       編成  :ソプラノ、尺八、ピアノ


原 嘉壽子氏プログラムノート(無断転載厳禁)

−亡き母に捧ぐ− 《野のマリア》より

 久しぶりに「うた」を書いた。昨秋母を亡くし、その母を偲んで書いたものである。母の最期の頃、訪れては岡本かの子の「仏教読本」を平易にくだいて読んであげていたが、母はそれをとても喜んで待ってくれていた。「野のマリア」という歌集のタイトルの中には、野の草に自らを放ったような生きざまの母が二重写しになってくる。

 歌人、長森光代さんは、後年、私どものフランス留学時代の友人、画家の長森聡氏の奥様になられた方で、現在は、お二人でフランスと日本を行き来していられる。この歌集には光代さんの生活がこもっていて、どの歌も女として共感するところが多く、母を亡くして砂のようになっていた私の心にしみとおって行った。

 好きな歌はたくさんある。ここに選んだ16首は、そのほんの一部に過ぎない。どれも控えめな選ばれた言葉の背後から、激しく強い、あるいは、時に優しい、女の叫びやひそやかな息が聞こえてくる。

 私の作品の中での16首の配列は、歌集での配列とは関係なく、ただ音楽的意図からのみ配列されている。そのことをお断りしなければならない。


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