第7回募集要項


■代表 田中信昭からの呼びかけ

●この会は、聴衆と作曲家・詩人そして演奏家とが連帯して新しい音楽を創造していく会です。

●会員の会費によって作品を委嘱します。会員には、新しい作品の楽譜と
初演演奏の録音テープとが贈られ、初演演奏会の切符が割引になります。

●音楽を愛する多くの人びとの願いを集めて出来た新しい“うた”を演奏し、聴き合い、伝え広め、音楽文化を育てていこうとする活動です。

●今年2000年度は、近藤 譲氏、 新実徳英氏、 伊左治直氏に歌曲を委嘱します。 三氏はそれぞれ独自の音楽活動を積極的に展開しておられる作曲家です。 優れた新しい “うた” の誕生が期待されます。

●今日私たちの生活は、 一見豊かで平和に見えます。 しかし、ここ数年来起っている世の中のさまざまな出来事は、 私たちが、 最も大切な精神文化をないがしろにしてきたむくいといえるのではないでしょうか。
新しい音楽文化の創造に、ご意志のある方々のご参加をお待ちしております。

新しいうたを創る会
代表  田中 信昭


近藤 譲(こんどう じょう)

 1947年生まれ。東京芸術大学で長谷川良夫、南弘明に作曲を学ぶ。1977-78年に、ロックフェラー3世財団の招きでニューヨークに滞在。1979年には、カナダ・カウンシルの招聘でブリティッシュ・コロンビア州のヴィクトリア大学で教鞭をとり、又、1986年には、ブリティッシュ・カウンシルのシニア・フェローとして1年間ロンドンに滞在した。
 内外の多くの音楽祭にテーマ作曲家として招かれ、又、「フィレンツェの5月」音楽祭やロンドンのサウスバンク・センターを始め、様々な主要機関・演奏団体から作曲委嘱を受けている。作品は、オペラやオーケストラ曲から、室内楽、独奏曲、電子音楽まで広範に及び、これまでにほぼ90曲を超える。それらの多くは、内外で頻繁に演奏され、録音されている。最近になって、イギリスのヨーク大学音楽出版局(UYMP)と専属出版契約が交わされ、作品のほとんどが同出版局から出版されることになった。
 1980年から約10年間、現代曲の演奏を専門とする室内オーケストラ「ムジカ・プラクティカ」を率いて、多くの新しい作品を演奏、紹介に努めた。又、1979年以来、自らの音楽思想を述べた4冊の著書を出版、現在は、イギリスの現代音楽専門誌

「Contemporary Music Review」の日本編集委員でもある。
現在、エリザべト音楽大学教授。更に、東京芸術大学でも教鞭をとっている。


新実 徳英(にいみ とくひで)

1947年名古屋市生まれ。70年東京大学工学部機械工学科卒業。東京芸術大学音楽学部作曲科を経て78年同大学院研究科修了。74年NETテレビ(現テレビ朝日)作曲コンクール入賞。77年第8回ジュネーヴ国際バレエ音楽作曲コンクール史上2人目のグランプリを、あわせてジュネーヴ市賞を受賞。83年にはジュネーヴ国際バレエ音楽作曲コンクール審査員を務める。84年文化庁芸術祭優秀賞受賞。
77年のグランプリ受賞曲<アンラサージュ?>を始めとして、「音の線的、リズム的、纏(まとわ)りつきとズレ」による作曲技法は<アンラサージュ???>へと展開され、現在はアジア=日本の素材・精神を核として<横豎(おうじゅ)>、<風音(かざね)>、<風を聴く>、<弦楽四重奏曲>、<光の園>、<アルジラ>、<魂の鳥>等の室内楽、<交響曲第2番>、 <創造神の眼>、 <生命連鎖>、 <宇宙樹>、 <焔の螺旋>、<太陽風>等の管弦楽曲、<常世(とこよ)から>、<をとこ・をんな>、<風の雅歌>、<スピリチュアル・フィールド>、 <こだま・おとだま>等の合唱曲へと拡がっている。繊細・優美、時に官能的な『線(旋律線)の纏りつき』を中心とした世界と、システマティックかつ遠心的エネルギーの噴出へと向かう『リズムの纏りつき』の世界、そして両者への統合へと創作の歩みをすすめている。


伊左治 直(いさじ すなお)

1968年生まれ。1995年東京音楽大学大学院修士課程修了。在学中、作曲を西村朗氏に、中世西洋音楽史を金澤正剛氏に師事。1992年第5回「Tokyo sound splash」(FM東京主催)、 第3回アジア音楽祭 「Stella nova tokyo」 (新星日響主催)の両音楽祭より招待演奏。1995年NHK・FM「現代の音楽」で特集番組放送。1996年作品個展を開催、1998年ガルシア・ロルカ生誕百年祭に参加するほか、NHK電子音楽スタジオ、東京混声合唱団、国立音楽大学などからの委嘱作品を発表している。
またパフォーマンス活動も展開し、1995年の 「ジョン・ ケージ ・ ローリーホーリーオーバーサーカス(塩見允枝子作品)」、1997年「日本の実験音楽1960s演奏会(一柳慧作品)」(ともに水戸芸術館)に出演し、同じく1997年、ボイスパフォーマーとして自作品 「美貌の青空」 (サントリー音楽財団委嘱)を新日本フィル、 五十嵐一生(tp)と共演した。
1991年第60回日本音楽コンクール第2位(1位ナシ)(室内楽作品)、 1992年第9回日本現代音楽協会作曲新人賞、 1994年第63回日本音楽コンクール第1位(オーケストラ作品)、 1995年第5回芥川作曲賞、1998年第8回出光音楽賞などを受賞している。
現在はNHKの委嘱でラジオオペラ「密室音響劇《血の婚礼》」を制作中。