会の趣旨(ロングバージョン)

呼びかけの言葉

日本の合唱界は、戦後、大きな進展を遂げ、地域や年齢を問わず、実に多くの人たちが合唱をするようになり、また併せて多くの合唱作品が作曲家から提供されるようになりました。

しかしながら、その実態を詳しく見てみると、少々、心配なことがあります。
それは、多くの合唱人にとって親しみやすく、頻繁に演奏会などで採り上げられる作品は、相応に生き残り、継承されていくでしょう。しかし、逆に、真に芸術的に素晴らしい作品であっても、合唱団にとって採り上げにくい作品は、次第に合唱界から忘れ去られ、歴史の中に埋もれていってしまう危険性があります。

そもそも、そのような作品は、需要が少ないため出版という商業ルートに乗りにくく、また運良く出版されたとしても、やがて絶版になってしまう可能性が高いです。やはり作品は出版されなければ、多くの合唱人の目にとまりにくく、時代を超えて継承されていくことが困難になります。

インターネットの発展により、これらの問題点は一定程度はクリアされるようになりましたが、やはり実際にそのような作品を演奏し、一人でも多くの方に聴いていただくという活動を継続していくことが、今、とても重要であると考えます。

そこで、日本の合唱界において、あまり知られていないが、未来に継承していくことが重要であると考える作品群を、実際に演奏会で演奏し、多くのお客様に聴いていただくための活動を開始いたします。

ささやかではありますが、静かな水面に一石を投じることによる波紋が、長い目で見た日本の合唱界への貢献につながることを願っています。

第1期の今年2023年は、柴田南雄氏および一柳慧氏の合唱作品を採り上げます。

いずれの作曲家の作品も、高い芸術性を持っていますが、様々な事由により、なかなか一般の合唱団が採り上げるのは困難なため、滅多に演奏されることはありません。これらの作品は是非とも未来へとつないでいきたいと考えています。
賛同してくださる方のご参画を心よりお持ち申し上げております。


「未来へつなぐ合唱の会」代表 西岡茂樹