アルモニ レジュイ 第5回コンサート 〜風に、風から〜

プログラムノート


プログラム紹介                         西岡茂樹

「三つのAve Maria」は、ルネサンス期のフランドルの作曲家ジョスカン・デ・プレ(Josquin des Prez)、現代のスペインの作曲家ハビエル・ブスト(Javier Busto)、そして同じく現代のカナダの女流作曲家エレノア・デーリー(Eleanor Daley)の「Ave Maria」を聴き比べていただこうという趣向。

「白い歌 青い歌」は、まず、新実徳英氏が曲を書き、それに詩人の谷川雁氏がテキストを付けるという、通常とは全く逆の順序で誕生した歌たち。そんなことは成り立つはずがない、と思いきや、実に音と言葉がぴったり寄り添って、素敵な歌がきら星のごとく輝いている。独唱、2声、3声、4声と、さまざまな演奏形態があるが、本日、お聴きいただくのは主に2声の曲。私が指揮をしている豊中少年少女合唱団のメンバーの保護者有志にも加わってもらい、少し厚い音の合唱になるハズ…。

山岸徹氏は、関西を拠点に活動する数少ない作曲家の一人。すでに多くの合唱曲を書いておられ、朝日作曲賞などを受賞しておられる。その氏の新作「When to the session of sweet silent thought 」は、ピアノを伴った透明感のある秀作で、連作の発表が待ち遠しい。

「日本のわらべうた・民謡」では、去る十月に全日本合唱連盟主催のコンクール関西大会で歌った2曲をお聴きいただきたい。「天満の市」は、山岸氏がハンガリーのバンキエーリ・シンガーズのために書かれたものを女声版にリダクションされたもの。大阪の民謡の旋律が美しい響きをもつ合唱体に昇華されており、独特の味わいがある。間宮芳生氏の「おぼこ祝い唄」は青森県に伝わる民謡が素材になっており、赤ちゃんのお七夜に皆が集まって歌うという。この曲には、色彩豊かなピアノが合唱を大いに盛り立てる。

「風に、風から」は、桜楓合唱団の2001年の委嘱曲。風を主題に秋・冬・春・夏の四季が歌われるが、そこに息づくのは新川和江さんという、戦後を逞しく生き抜いた女性の生き様である。いつものように三善晃氏の歌は、限りない優しさを湛えている。