宇宙になる   新実徳英氏から寄せられたメッセージ   2008年7月12日 豊中混声第48回定期演奏会

《宇宙になる》                          

新実徳英 

言うまでもなく、このタイトルは3曲目の〈宇宙〉という詩をもとにしている。  およそこれまでの合唱曲でこのような破天荒(失礼!)な詩をテキストにしたものは皆無ではなかろうか。

が、僕はどうしてもこれらの詩を合唱で歌いたかった。  

僕はこれらの詩を十分に理解しているわけではないし、詩を合唱で表現しようとしたわけでもない。ここにあるのは和合さんの詩に触発され、爆発するように生まれた音たちなのである。 1曲目の〈ロックンロォル〉を作曲した時に次のようなメモを記した。  

炸裂するエネルギー、高温/語と音の躍動、新たなリズム、初めて出会った「抒情」/意味と無意味の交錯による「新風景」/日本語の新たな意匠/生命賛歌/曲りくねっている「ストレート」な愛/現代の「縄文」・・・ 《宇宙になる》は以上のメモのどれかであるだろうし全であるかもしれない。  

おそらく和合さんは自作の詩を解説できないだろうし、僕もまたこの作品の解説はできない。 合唱曲は歌うことにより、聴衆は(そして僕も)聴くことによりこの曲が何であるのか、何であり得るのかを知ることになるだろう。  

本日の演奏会がそのような新しい「佳き場」となるよう願っている。 この場をお借りして、このような貴重な機会を与えていただいた豊中混声合唱団=西岡茂樹の皆さんに心よりの感謝を表するものです。