豊中混声合唱団 第40回 定期演奏会 プログラム概要


私、西岡は第1ステージの高橋悠治作曲「慈経」、第2ステージの松下耕作曲「鳥のために」、第3ステージの三善晃作曲「路標のうた」を指揮致します。

「慈経」は、最古の仏典の一つといわれるスッタニパータ(ブッダのことば)の中に納められており、すべての生き物の幸せと平安への願いが述べられています。高橋氏は、現在もスリランカに伝わるパーリ語による朗誦と、東大寺に伝わる廃絶雅楽の旋律に基づく日本語訳文の歌を「同時朗誦」するという、独特の構成を用いることにより、太古の昔から現在、そして未来へとつながる祈りの心を音楽空間に現出させています。

「鳥のために」は、ユーゴ在住の山崎佳代子さんの同名の詩集をテキストにしたもので、ユーゴ内戦の悲劇とそこから聞こえてくる人々の悲痛な叫びが全5曲、演奏時間25分の長大なオラトリオとして歌われます。昨年11月の全日本合唱コンクールで第3楽章の「木」を歌って銀賞を受賞しましたが、今回、ついに念願の全曲演奏にこぎつけました。
合唱による20世紀の総括として、「慈経」と「鳥のために」を位置づけ、演奏会の前半で演奏させていただきます。

今回の演奏会の一つの特徴として、男声・女声、それぞれ別のステージを持つことがあげられます。
「路標のうた」は、2群の男声合唱とピアノのために書かれた曲で、人と人との新しい出会いの喜びと尊さ、そしてそれを求め続ける人生への賛歌です。関西の男声合唱団の中でトップクラスの実力を持つ、創価学会関西男声合唱団との共演は、まさにこの曲の精神にふさわしい、出会いの喜びに満ちあふれた演奏になるのではないかと期待しております。

音楽監督の須賀敬一は、高田三郎先生の曲を2ステージ指揮致します。

まず第4ステージは女声合唱曲「マリアのうた」。聖母マリアが日本の人たちにも親しいものになってほしい、との願いがこめられた愛すべき組曲で、86才になられた高田先生ならでは格調と優しさが滲み出てきます。

第5ステージは混声合唱曲「争いと平和」。高田作品の中でも、聖書3部作として、ひときわ高くそびえ立つ前人未踏の最高峰ではないでしょうか。豊混の委嘱曲でもあり、第35回定期演奏会では高田先生の指揮により、関西フィルによるオーケストラバージョンの演奏も行っております。去る5月21日、東京文化会館で開催された「ひたすらないのち」コンサートでも演奏し、大きな反響をいただきました。その熱演を、是非、関西の皆様にもお届けしたいと願っております。